読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

ブルーノ・ムナーリ『ファンタジア』(原書 1977 みすず書房 萱野有美訳 2006)発想の方法を教えてくれる楽しい一冊

 

ブルーノ・ムナーリはイタリアのプロダクト・デザイナー、グラフィック・デザイナー。代表作は「役に立たない機械」。レオ・レオニウンベルト・エーコが特に親しいお友達。発想を柔らかくしてくれるとともに、これまでの美術作品がよってたった方法論をいくつも教えてくれる栄養価の高い一冊。

ファンタジアとは、これまでになかった新しいことを考え出させる人間の能力である。ファンタジアは、まったく架空のもの、新しいもの、これまでになかったものを自由に考えていい。その考えが本当に新しいかどうか確認せねば、なんて心配しなくていい。それはファンタジアの領分ではない。(「知っているものの関係」p33 )

 

ある一つのモノがべつのモノになりうるとしること、それは変化に関する一種の知識となる。変化とは、現実世界において唯一不変のものである。(「創造力とフォルム」p203 )

 

想像し創造するもとになる素材をたくさん取り込んで、いろいろな変容、いろいろな組み合わせを試してみる。変容の方法、組み合わせの方法については、これまでの文化の歴史がいくつもヒントを与えてくれる。変化を楽しんでみるようにと、ブルーノ・ムナーリは誘いをかけている。

 

目次:
創造力ってなに?
不変の要素
思考は考え、想像力は視る
ファンタジア 発明 創造力 想像力
知っているものの関係
冷たい炎 煮えたつ氷
七つ頭の竜
泥よけ付きのサル
ブルーのパン
コルクのハンマー
広場にベッド
五線譜のランプシェード
リドリーニ風に
ポップなマッチ
恐怖のモンスター
素晴らしき哉、重量挙げ選手
関係の中の関係
創造力を刺激する
ダイレクト・プロジェクション
知識を豊かに
クリエイティヴな遊び
サラダ菜のバラ
3次元の遊び
オリガミ
フォルムの分析
構造分野における組み合わせ可能なモデュール
書体
反復のヴァリエーション
11個の石
創造力とフォルム
架空の美術館
モノからモノが生まれる

 

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ブルーノ・ムナーリ
1907 - 1998
萱野有美
1975 -