読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

【ジンメルの社会学を読む三連休】02.越境の能力者、ゲオルク・ジンメル

論文とエッセイ、科学と芸術、学問と商業文芸。社会学者としてのゲオルク・ジンメルの本業は私が提示したカップリングの前者、著述家としての本質は後者にあるのかなと考える。位置づけがしづらい人物である分、学問的評価が若干厳しめに推移しているようなことが訳者解説などに書かれてたりするが、容易に規格に収まらない大ぶりの人物なのだと考えておけばよい。実際に読んでみると100年を超えた今でも、同時代の人物というか時代を先行して歩みを進めている人物に思える。昨日はジンメルをおだやかなドゥルーズ=ガタリとたとえたけれども、今日思い浮かべたのはロラン=バルト。ドイツ語圏の人物だとジンメル本人が研究対象として取り上げもしたゲーテなどになるのかなと思いながら読みすすめている。

 

本日メインは『社会学 社会化の諸形式についての研究』。第4章「闘争」から第8章「社会集団の自己保存」途中まで。『社会学』は一冊の体系的な諸作として書かれたというよりも、独立した論文をまとめたということもあって、一気に読みすすめるのには骨の折れる内容。訳書のページ構成なども影響してページ単位で考えるとえらく進捗が出ずらい著作ではあるが、文才含めて読みとり感じとるべきものが多すぎるので、あまり慌ててはいけないと自戒しながらの読書となっている。重厚な聖堂の建築物のなかを、飾られた彫刻や絵画作品を見ながら進んでいる感じだ。

 

【本日読了最終部分引用】

研究の対象はつねに心理学的な個人でありつづけ、全体としての集団はこの考察カテゴリーにとってもまた、いかなる「心」をもつことができない。しかし多くの個人の同質性は、このカテゴリーが前提とするところであり、一般にはたんに彼らの相互作用によってのみ成立し、それゆえに類似、同一の影響、統一的な目的設定といった相互作用の結果とともに、社会心理学に属する。
(『社会学 社会化の諸形式についての研究』第8章「社会集団の自己保存」社会心理学についての補説 下巻 p167 )

 

【連休二日目 2020/11/22 終了時進捗】

社会学(1908) 居安正 訳(白水社 1994 上巻)

 第4章 闘争
 第5章 秘密と秘密結社

社会学(1908) 居安正 訳(白水社 1994 下巻)

 第6章 社会圏の交差
 第7章 貧者
 第8章 社会集団の自己保存(進行中……)

『文化論』阿閉吉男 編訳 (文化書房博文社 1987)

 文化の本質について 1908
 文化の概念と悲劇 1911

残300ページ程度。とりあえず通読はできそうな分量。


3日目につづく・・・