読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

『ピエール・ルヴェルディ詩集』(佐々木洋 編訳 七月堂 2010, 2020 ) シュルレアリスト達に最も偉大な詩人と評価される「誇りの乾いた黒い傷口」のような詩人の詩

冷えた痛みがゆっくり吹きぬけていくような詩の印象。

なにかしら耐えつつ動かなくてはならないようなときのこころの同伴者としてルヴェルディの詩は適している。べつに助けてくれるということはないのだが、ルヴェルディはルヴェルディで詩のなかでしっかり憂いつつ耐えているので、まあ自分ひとりが辛く哀しいわけではないと深く感じることができて、なんとなく落ち着くことができる。

 夕暮れに、雨と夜の危険を通り抜けて、彼は自分の定かならぬ影と自分を苦しめるすべての者たちを連れ歩く。
 最初の出会いに彼は震える。――絶望に対してどこに逃げ込んだらよいのだろうか?
 枝々を仕置きする風の中を群集がうろつき、空の親玉が恐ろしい目つきで彼を追いかける。
(「終わった男」より)

 

ルイ・アラゴンはルヴェルディのことを「黒い太陽」と呼んだようだが、詩人自身の詩句の中では「誇りの乾いた黒い傷口」(「そして今は」の18行目)というのが最も本人を表しているように感じた。

ピエール・ルヴェルディ詩集 - ピエール・ルヴェルディ/佐々木洋 訳 ─ 七月堂

 

ピエール・ルヴェルディについてはウィキペディアの記述が充実している。

ピエール・ルヴェルディ - Wikipedia

 

ピエール・ルヴェルディ
1889 - 1960