読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

【お風呂でロールズ】01.『政治哲学史講義』序論―政治哲学についての見解 リベラリズムの展開を支えた制御と制限

歴史上の階級間闘争のなかで政治的妥当を精査する層が変化していったということを、まずは序論で確認しておく。

リベラリズムの三つの主要な歴史的源泉は次に挙げるものです。第一に宗教改革、および一六世紀、一七世紀の宗教戦争。この戦争はまず、寛容と良心の自由の原理を不承不承、受容することをもって終結しました。第二に、王室の権力を台頭する中産階級が徐々に制御し、制限君主制という立憲体制が確立されたこと。第三に、労働者階級が勝利してデモクラシーと多数者支配を獲得したこと。
(『政治哲学史講義Ⅰ』序論――政治哲学についての見解「リベラリズムの主要な観念――その源泉と内容」p20 )

リベラリズムの展開を支えた制御と制限。被抑圧者側からの訴えを「不承不承、受容」しながらの支配統制の穏当化。日本の場合、次に勝利しなければいけないのは縮小していく若年層と生産年齢者層だろうか? しかしながら多数決原理だと目先の負けがほぼ決まってしまっているのが難儀だ。

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ロールズ『政治哲学史講義Ⅰ』(原書 2007, 岩波書店 2011, 岩波現代文庫 2020 )
※サミュエル・フリーマン編, 訳:齋藤純一, 佐藤正志, 山岡龍一, 谷澤正嗣, 髙山裕二, 小田川大典

序論――政治哲学についての見解
 第一節 政治哲学をめぐる四つの問い
 第二節 政治哲学の四つの役割
 第三節 リベラリズムの主要な観念――その源泉と内容
 第四節 リベラリズムの中心テーゼ
 第五節 初期状況