読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

佐々木中『切りとれ、あの祈る手を 〈本〉と〈革命〉をめぐる五つの夜話』(河出書房新社 2010)

『夜戦と永遠──フーコーラカンルジャンドル』の佐々木中の五日間十時間ぶんのインタビューを文字起こしした本。インタビューベースの本にしては資料引用などもしっかりしていてよく出来ている。本を読む熱量に翳りが出てきたときに読むと勇気づけられる。

読んでしまった以上、読み変えなくてはなりません。読み変えた以上、書き変えなくてはならない。読んだことは曲げられない。ならば書きはじめなくてはならないのです。繰り返します。それが、それだけが「革命の本体」です。
(第4夜「われわれには見える―中世解釈者革命を超えて」 p136 )

「革命においてはテクストが先行する」、「テクストの変革こそが革命の本体」という基本姿勢が、読む力が弱っているときには力になってくれる。読むことしかできない私のような人間は、一回くらいは読んでおいたほうが良い。支えとなってくれる。「読み変え」、「書きはじめなくてはならない」というほうは、ちょっとハードルが高いけれど、読んでしまったら応えなくてはならないと思ってしまうことは致し方ないということも教えてくれる。

 

www.kawade.co.jp


目次:
第1夜 文学の勝利(「焦慮は罪である」
第2夜 ルター、文学者ゆえに革命家
第3夜 読め、母なる文盲の孤児よ―ムハンマドハディージャの革命
第4夜 われわれには見える―中世解釈者革命を超えて
第5夜 そして三八〇万年の永遠

佐々木中
1973 -