読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

萩原朔太郎編『昭和詩鈔』( 冨山房百科文庫 1940, 新装版 1977 )空虚さを清く保つ詩の力

昭和十五年に刊行された昭和詩のアンソロジー伊東静雄立原道造中原中也安西冬衛北園克衛中野重治草野心平三好達治宮澤賢治西脇順三郎金子光晴高橋新吉など、現在でも十分こころに響く芸術的美意識を込められた詩のことばを収集している。全48名、180篇、360頁と分量も充実していて、じっくり日本の詩のことばを味わうことができる。

文学や芸術のことは、人間の情操に根をもつ限り、政治や国勢の変化に雁行しない。世界の地図が三度塗り代えられる間にさえも、芸術は徐々として無関心に歩いているのだ。
(「序言」より 原文は旧字旧仮名)

時代が変わっても、満たされないもの空しいもの届かないものをめぐってことばが紡ぎ出されているのは大きく変わらない。生の基本的な色調ともいえそうな空虚感、無常感を詠いながら、どこかに清浄さを生み出している詩が萩原朔太郎によって選ばれているこの本は、古い本であってもなかなか捨てられない。

 

萩原朔太郎
1886 - 1942
安藤元雄(解説)
1934 -