明治・大正・昭和の三代、82名の俳人の478句を選び、一句ごとに解釈と批評をつけた名句入門書。朝日新聞社のサイトには書籍紹介のページがあるものの、amazon上には中古品しかない。最安値8889円。希少品ということか。私は本は買っても売らない主義(端を折ったり書き込みしてたりするのでそもそも売れない)なので、手持ちの1997年の第9刷の本は五日後古紙として廃棄予定。有名どころの句はほかでも読めるし、大きめの図書館にはわりとある本なので大丈夫といえば大丈夫。最後にざっくり掲載句を読んでみた。
文芸などというものは古臭くても構いはしないのだが、昔の句を読むことで今の世で俳句を詠む喜びに繋げていけるかどうかは少し疑問。季と自分と十七音定型で今ここに生きることを永遠もしくは無限に接続できるかどうか。無季の事物に多く接して生活しているので、もう俳句に昔ほどの活気と活路を求めるのは無理なのかもしれない。
花の風山蜂たかくわたるかな 飯田蛇笏
ひろびろと露曼荼羅の芭蕉かな 川端茅舎
ある時は月を古仏となしにけり 尾崎迷堂
戦後の作品はほとんど採られていない。