マルクスの思想にもつながるだろうヘーゲルのことばがちょこちょこ顔を出してきてなかなか楽しい。
「国家は終焉しなければならない」
「コルポラツィオーン(職業団体)」
「ポリツァイ(内務ー福祉行政)」
「中間階級」
「中間身分」
「市民社会」
などなど。
ヘーゲル哲学全般に言及しているが、著者の専門である社会哲学の領域の記述が多いのが特徴。また編年体の記述で、ヘーゲルの伝記的なエピソードもうまく埋め込まれていて、読み物としての魅力もけっこう高い。
リチャード・ローティが『アメリカ ― 未完のプロジェクト』のなかでヘーゲルのことを「私の精神と魂のもっともすぐれた最愛の医師」といって称賛していると知れたことも、なんだか得した気分になれた。
もうちょっとしたらローティも読みたい。
【付箋箇所】
22, 25, 31, 42, 50, 60, 68, 74, 89, 107, 118, 128, 143, 144, 146, 151, 158, 162
目次:
第1章 青年期―思想の革命と新たな世界の予感
第2章 ひとりの哲学者としてたつ―変転する時代のなかで
第3章 過去への憧憬、未来への願望。否、現在に立つ―ヘーゲル社会哲学の成立
第4章 『精神現象学』―意識は世界をくまなく遍歴し、経験する
第5章 哲学者として羽ばたく―ニュルンベルク時代、ハイデルベルク時代
第6章 西南ドイツ立憲運動、そしてヘーゲルの法哲学講義
第7章 ベルリン時代―多産な講義活動、学派の形成
第8章 ヘーゲル哲学、その後そして現代
ヘーゲル
1770 - 1831
滝口清榮
1952 -