読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

アンナ・アフマートヴァ詩集『レクイエム』(木下晴世編訳 群像者ライブラリー 2017)

スターリン圧政下で多くの詩人仲間を失い、夫と息子も逮捕拘禁され、執筆活動も禁止されているなか、ひそかに作られ、監視者に見つからないようにと紙には残さず暗記することで、後にまとめあげられた詩集二作。『葦 1924-1940』と『レクイエム 1935-1940』。苦しみと悲しみのなかで漏れ出てしまう言葉の必然性を受け止める。

すでに狂気はその翼で
魂の半ばを覆っていた
そして炎の酒を振舞い
黒い谷へと手招きする

私には分っている あれに
勝ちを譲らねばならぬこと
自分のもう自分のものとも思われぬ
うわ言に聴き耳をたてながら

(『レクイエム』第9詩篇 部分)

 

『レクイエム』はソヴィエト国内では生前出版されることはなく、死後しばらくたった1987年に出版された。ベルリンの壁崩壊は二年後で、それまで出版されなかったことに逆に作品の力を感じさせる。

 

アンナ・アンドレエヴナ・アフマートヴァ
1889 - 1966
木下晴世
1948 -

 

参考:

uho360.hatenablog.com

uho360.hatenablog.com