読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

ジョルジュ・プーレ『人間的時間の研究』(原書 第1巻 1949, 第2巻「内的距離」1952, 筑摩叢書 第1巻 1969, 第2巻 1977 )

日本ではなんでも翻訳されているということはよく言われていることではあるのだが、そんなことはない、ということを知らせてくれる貴重な書物。ヌーヴェル・クリティックの代表的な作品であるジョルジュ・プーレ『人間的時間の研究』(全4巻、1949‐1968)も、完訳を目指しながらも残念ながら第2巻までで頓挫している。また、批評の対象として取り上げられているフランス文学の代表的な作家たちにしても、日本語しか読まないい読書好きのものにとっては馴染みのないものが多い。世界の歴史は、著述という領域に限っても、そんなに薄っぺらいものではないということが分かる。第2巻までの目次から見てとれる作家のラインナップに圧倒されるそのまえに、まずプーレの批評作品自体の分厚さにたじろぐ。上下二段組みで約900ページ。分量的にはジョイスの『ユリシーズ』ぐらいはあるだろうか。しかもジョイスの『ユリシーズ』は文書を追って行けば通読後に登場人物とともに時を過ごしたという充実感があるのだが、プーレの『人間的時間の研究』を読んで、内容に圧倒されながらも、論じられている対象に馴染みがないと、片落ちしているのではないかという想いは抜けきらない。

[第1巻]
序論
 第一章 モンテーニュ
 第二章 デカルトの夢
 第三章 パスカル
 第四章 モリエール
 第五章 コルネイユ
 第六章 ラシーヌ的時間覚え書
 第七章 ラファイエット夫人
 第八章 フォントネル
 第九章 アベ・プレヴォ
 第十章 ルソー
 第十一章 ディドロ
 第十二章 バンジャマン・コンスタン
 第十三章 ヴィニー
 第十四章 テオフィル・ゴーティエ
 第十五章 フォーベール
 第十六章 ボードレール
 第十七章 ヴァレリー
 第十八章 プルースト

[第2巻]
 第一章 マリヴォー
 第二章 ヴォーヴナルグ
 第三章 シャンフォールラク
 第四章 ジューベール
 第五章 バルザック
 第六章 ユゴー
 第七章 ミュッセ
 第八章 ゲラン
 第九章 マラルメ

 

読んでいない作家の多さにまずは驚くことから始めないと、なにも始まらない。

 

ジョルジュ・プーレ
1902 - 1991


参考:

uho360.hatenablog.com

uho360.hatenablog.com