読み終えて、ああ終わっちゃったとさみしさが湧いてきた。読んでいる最中もなんだかさみしいなあと思いながらの読書だった。たぶん、特殊個人的なケースだと思う。
大学で哲学を教える千葉雅也の2017年39歳時の海外学外研究(サバティカル)での交流記、滞在記。
本を読んでいるという行為自体は似ているのに、現実世界の時間の過ごし方がこんなにもちがうのかと、思考力も表現力も感じる力もなんとちがうことかと、一読者をさみしくさせるほどの作品。
ゲイでもある哲学者が普段どのように感じどのように考えているかがしずかに伝わってくる。
あまりおいしそうなものは出てこないけれども、食べもののことが多く書かれていて、お腹が空いている状態で読んだこともさみしさの一因。
人の生活は、欲望は、ある狭さとの関係で成り立っている。
ある狭さがなければ欲望することは不可能だろう。狭さが欲望の原因だ。(中略)世界のなかで我々は、ある狭さを生きる。おお、狭さよ。
(「狭さ」p174)
ロラン・バルトをふと思い出した。
目次:
押し出される
Are you sure?
エンジョイ
ライシャワー日本研究所
聖なるもの
You
信頼
適応
立体的
Roxbury
I would prefer not to
警報
自己紹介
アレックス
性
Porter Square
Turkey Sausage, Egg aand Cheese
社交空間
無関係
分身(ニューヨーク1)
Disability(ニューヨーク2)
David
書かないで書く
実在(ミュンヘン)
二人称
Redemption
肌色(マイアミ)
静電気
当事者
映画(ロサンゼルス)
狭さ
包装(日本)
千葉雅也
1978 -
参考: