読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

佐々部英男訳『梟とナイチンゲール 中世英語問答』(ゆいぽおと 2020)

どことなく宮澤賢治が書きそうな話。キリスト教法華経の世界の違いはある。

重く冷静な梟と軽く陽気なナイチンゲールが互いに退かずに自分の優位性について言論でもってはりあっているところに面白味がある。

原詩の成立時代は12世紀後半中世であっても、おとぎ話的世界の日本語訳作品なので、ほとんど古さは感じない。ストレスなく読める詩劇。全1794行。

鳥たちや神々の世界、市民や農民の世界を描ける現代の画家の作品と取り合わせて、絵本か詩画集にするといいかもしれない。

己の財を過信するなかれ。
冷めぬほどあついものはなく
汚れぬほど白いものはない。
嫌われぬほど好ましいものはなく
怒り出さぬほど喜ぶものはない。
(1274~1278行)


佐々部英男
1926 -