あらゆる中毒、あらゆる傷に、触れては離れる。
残るものは痛み。
甘美なものもあれば、激烈なもの、消えないものもある。
シュルレアリスムに近いところで活動したチリの詩人ロハスの詩には、原子の世界にもどる手前の人間の、受苦と情熱が描き出されている。高速の言葉のつぶてで打ち出された荒々しいレリーフとその屑をもろともに感じさせる詩。
盲いた仕事を
我らは眠れぬまま歩く、静かに注意深く、この
綱で誇りは輝かない、我らは歌声を上げない、我ら
は何の卜占官でもない、鳥の
内臓を取り出して未来を占ったりはしない、泣くなど
愚かなこと。
(第5部 謎:「数字の光」2)
文明開化以前より連綿と続く肉体と意識の底知れぬ深さを背負って現在を書き留めている詩人。
グレゴリー・サンブラーノ編『ゴンサロ・ロハス詩集 (アンソロジー)』(現代企画室 寺尾隆吉訳 2015)
目次:
第1部 言葉と詩
第2部 欲望と愛
第3部 生と死
第4部 放浪と風景
第5部 謎
第6部 人相書き
ゴンサロ・ロハス
1916 - 2011
グレゴリー・サンブラーノ
1963 -
寺尾隆吉
1971 -