エズラ・パウンドなどとも交流のあったモダニスト詩人の詩選集。行替えの激しい『黒い火』あたりの作風がもっとも個性が出ているような印象だった。E.E.カミングスや高柳重信などの詩型が類想される。言語自体のイメージを梃子にして創られた作品は、元素的なイメージとともに古びることなく輝きを放っている。
孤独
は
黒
い
雨
に濡れ
て
梯子
の
形
に腐つてゆく
(『黒い火』「黒い肖像」部分)
横書きにしてしまうといまひとつ雰囲気が出ないのは、やはり文字形象自体の力を呼び寄せながらの創作であるからであろう。
「梯子の形に腐つていく」とはどういうことかは確定できはしないだろうとは思いつつ、はしごダルマのようなもので、地獄落ちをうながし、その道を拓いてしまうものでありそうな気がしている。
北園克衛
1902 - 1978