読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

中央公論社『日本の詩歌22 三好達治』(中央公論社 1967, 新訂版 1979, 中央文庫 1975)

高見順の異母兄にあたる福井県出身の詩人阪本越郎が、福井に縁の深い三好達治の作品ひとつひとつに的確な鑑賞文をつけて案内してくれる良書。第一詩集『測量船』から最後の詩集『百たびののち』まで、代表作とみられるものがこの一冊で優れた読み手の読解付きで読めることは、大変貴重である。

収録された詩集および拾遺は以下19点にわたる。

 測量船
 測量船   拾遺
 南窗集
 間花集
 山果集
 霾
 艸千里
 艸千里   拾遺
 一点鐘
 羈旅十歳
 朝菜集
 寒柝
 花筐
 春の旅人
 故郷の花
 砂の砦
 日光月光集
 駱駝の瘤にまたがつて
 百たびののち

中央公論社の日本の詩歌シリーズは一冊400ページ程度の分量で各詩人の代表作を網羅しつつ読みの専門家が鑑賞文を書くことで多くを教えてくれた優れた企画選集であった。読者市場も企業も詩人たちもいま現在よりは体力と気力があっであろう時代の記念碑として、改めて鑑賞してみるのも良いのではないだろうかと思った。


三好達治
1900 - 1964
阪本越郎
1906 - 1969