読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

ガストン・バシュラール『空と夢 運動の想像力に関する試論』(原著 1943, 法政大学出版局 1968,2016)

物質についての想像力論第3巻、「大気(風)」の想像力、空の詩人に関する研究。飛翔するもの、翼を持つものの詩的世界、また墜落するものの世界。
シャルル・ノディエ、リルケニーチェシェリー、キーツダヌンツィオ、ヴィクトル・ユゴー、ブレイク、ミシュレエドガー・アラン・ポーノヴァーリスヴァレリーマラルメ、エリュアール、シュペルヴィエル、ラフォルグ、ホフマンスタールヤコブベーメ、D・H・ロレンスなど。
拾い上げてみるとフランスの詩人よりもドイツやイギリスの詩人に特徴的な人が多い。神秘思想に近接しているようなケースがドイツに多く見られることが原因であろうか。
「夢は覚醒生活のうみだしたものではない。それは根源的な主体的な状態である」(第三章「想像的墜落」より)。フロイトではなくユングや『無意識の幻想』のD・H・ロレンスが引用されているところにもバシュラールの方向性が示されていそうだ。

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【付箋箇所】
8, 16, 45, 53, 58, 65, 130, 132, 133, 145, 152, 163, 216, 227, 233, 251, 252, 287, 356, 361, 371, 376, 381, 420, 422, 424

目次:
序論 想像力と動性
第一章 飛行の夢
第二章 翼の詩学
第三章 想像的墜落
第四章 ロベール・ドズワィユの業績
第五章 ニーチェと昇行の心象
第六章 青空
第七章 星座
第八章 雲
第九章 星雲
第十章 大気の樹木
第十一章 風
第十二章 声なき朗誦
結語(一) 文学的イメージ
結語(ニ)運動学的哲学と力動的哲学


ガストン・バシュラール
1884 - 1962
宇佐美英治
1918 - 2002