読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

永田耕衣『永田耕衣俳句集成 而今・只今』(沖積舎 2013)

1934年(昭和9年)刊行の処女句集『加古』の「日のさして今おろかなる寝釈迦かな」から1996年(平成8年)齢97歳で主宰する琴坐俳句会を閉じるにあたって最終掲載された自筆最終俳句「枯草の大孤独居士ここに居る」までの約5000句を収めた永田耕衣の代表句選集。限定350部刊行。取り寄せられる範囲の図書館に蔵書としてあれば比較的簡単に読むことはできる。作品だけならばネット上に全部公開してしまうという方法もいま現在であれば選択肢かもしれないが、詳細年譜や推薦文を収めた栞のことを考えると紙の本の体裁も大事。そして公に開かれていて保存にも心を配っている図書館があることも大事。350部くらいあれば後世にも伝わるし、再発見する人も出てくるだろう。

放屁の、薄氷の、 鯰の、泥鰌の、蝶の、風の、穴の、花の、空の、蠅の、茄子の、死の、命の、泥の、老いの、日の、我の、命の、呟き。

泥鰌浮いて鯰も居るというて沈む
てのひらというばけものや天の川
秋茄子にくつ附いて居る時間哉
自分でも要らぬ葉が出来茄子の花
偏つて真ん中に居る椿かな


掲載順句集
加古 鶏頭陣社、1934
傲霜 私家版、1938
與奪鈔 琴座俳句会、1960
驢鳴集 播磨俳話会、1953
吹毛集 近藤書店、1955
悪霊 俳句評論社、1964
闌位 俳句評論社、1970
冷位 コーベブックス、1975
殺佛 コーベブックス、1978
殺祖 南柯書局、1981
物質 湯川書房1984
葱室 沖積舎、1987
人生 沖積舎、1988
泥ん 沖積舎、1990
狂機 沖積舎、1992
自人 湯川書房、1995
陸沈考 未完句集

【付箋箇所 栞(上下二段組み a:上段, b:下段)、本篇俳句1ページに五句をabcdeで判別】

2a, 9a, 13a,s
本篇
9d, 11b, 12d, 13c, 14d, 19c, 19d, 28d, 32d, 37b, 39c, 47c, 52b, 54a, 60d, 63b, 68b, 69d, 70a, 72d, 74d, 78a, 79d, 86e, 87d\, 89c, 90a,91e, 96a, 100c, 105b, 128d, 171e, 193a, 230e, 261c, 268a,275e, 277c, 288c, 297a, 298c, 301c, 306d, 311b, 316e, 317d, 324e, 332b, 353b,360b, 373b, 378d, 391a, 417e, 431, 440c, 448e, 455b, 456c, 461a, 469d, 473a, 476e, 478d, 479a, 494b, 527e, 535c, 542d, 551c, 553c, 558b, 561c, 563a, 566c, 594b, r4d, 615e, 62b, 624d, 632b, 651c, 653a, 653b, 653e, 661c, 666b, 675e, 685e, 691e, 694a, 696b, 697d, 699c, 709a, 714c, 717c, 724e, 792b, 830e,841b,877b, 921a, 972c, 995b  、

永田耕衣
1900 - 1997