詩経の詩篇をとりあえず通読。現代人の等身大スケールで理解できる作品がやはり読み取りやすい。
兔爰(とゑん)
兔(と)有り 爰爰(えんえん)たり 雉羅(ちら)に離(かか)る
我が生の初め 尚(こひねがは)くば為(な)す無(な)けんど
我が生の後 此(こ)の百罹(ひゃくり)に逢ふ
尚(こひねがは)くばい寐(い)ねて吪(うご)く無けん
(詩経上巻 王風 p286)
蟋蟀(しっしゅつ)
蟋蟀(しっしゅつ)堂(どう)に在り 歳 聿(ここ)に其れ莫(く)れん
今我楽しまずんば 日月其れ除(さ)らん
已(はなは)だ大(おほい)に康(たのし)む無かれ 職として其の居を思へ
楽(たのしみ)を好むも荒むこと無かれ 良士(りょうし)は瞿瞿(くく)
(詩経上巻 唐風 p419)
雲漢(うんかん 部分)
天喪乱(そうらん)を降(くだ)し 飢饉薦(しきり)に臻(いた)る
神(しん)として擧(きょ)せざるは靡(な)く 斯(こ)の牲(せい)を愛(おし)む靡(な)し
圭璧(けいへき)既に卒(つ)く 寧(なん)ぞ我に聴く莫(な)き
旱(かん)既に大甚(はなはだ)し 蘊隆(おんりう)蟲蟲(ちうちう)たり
(詩経下巻 雲漢 p495)
烝民(じょうみん 部分)
天烝民を生ず 物有れば則有り
民の秉彝(へいゐ)、是の懿德(いとく)を好む
(詩経下巻 烝民 p511-512)
高田眞治
1893 - 1975