読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

淡野安太郎『哲学思想史 -問題の展開を中心として-』(角川ソフィア文庫 2022, 原著 1949, 1962)

後進の教育にもっとも力を入れている人物のひとりである作家佐藤優が再刊までこぎつけた哲学史概説書。

古代哲学から近代哲学に移行するあいだの中世(キリスト教)哲学を教科書的哲学通史のなかでまがりなりにも取り上げ位置づけたこと、現代日本の高等教育の基本形を作った新カント派の考えが丁寧に説かれていること、一元論と二元論の弁証法的な思索の運動が哲学史を創り上げていることを人間に信頼を置くヒューマニズムの立場から説いているところが本書の特徴と言えるであろう。

日本の西洋哲学受容の厚みを振り返り確認できる書物。

www.kadokawa.co.jp

【目次】
緒 言 全面的に書き改めるに際して
序 章 哲学と哲学史

第一章 古代哲学
 第一節 ギリシャにおける学問の誕生とその発展
 第二節 二元論と一元論
 第三節 古代の唯物論
 第四節 自由の問題

第二章 中世哲学
 第五節 キリスト教思想
 第六節 中世思想の根本問題
 第七節 普遍者論争

第三章 近世哲学
 第八節 近代文化の誕生
 第九節 唯理論
 第十節 経験論
 第十一節 批判主義の根本精神
 第十二節 弁証法的思惟
 第十三節 唯物論とその超克

補 章 現代哲学の動向
解 説 佐藤優

【付箋箇所】
25, 28, 35, 36, 40, 45, 54, 57, 72, 98, 106, 119, 122, 158, 168, 170, 173, 192, 189, 202, 210, 215, 236, 245, 250, 2259, 279, 292, 294, 309, 310, 312

淡野安太郎
1902 - 1967

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佐藤優
1960 - 

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