『青い鳥』(1907)の作者モーリス・メーテルリンク(1862-1949)の20代の処女詩集。
己の魂が温室のなまあたたかい環境のなかで倦怠感をもって過ごしていることを歌い、清冽な外部の侵入をロマンティックに請い願うという構えがベースとなっている抒情詩集。
著者27歳までの抒情詩は、甘さと苦さが本来的な状態で書き留められているがために、嫌みなく何度でも繰り返し読めるような、古びがたく、感覚の鮮度を保った詩篇である。
基本的には誰からも積極的には許されないであろう生ぬるさのうちに生きる人間の精神の姿を克明に描き上げたところに作者の特異性が感じ取れる。
慌てずに味わうべきノーベル賞受賞の象徴派詩人の処女詩集
温室33篇に15の歌を付加
[温室33篇]
温室
祈祷
倦怠の室
誘惑
ガラスの鐘
謎の捧物
心の葉叢
火照った魂
魂
疲弊
疲れた狩猟
疲弊した猛獣達
お祈り
虚ろな時
倦怠
施療院
夜のお祈り
冬の欲望
倦怠の輪舞曲
アーメン
釣鐘型潜水器
アクアリウム
焦熱のガラスレンズ
反映
幻影
祈祷
眼差し
待ちぼうけ
午後è-
温室の魂
心づもり
触れ心地
真夜中の魂
モーリス・メーテルリンク
1862 - 1949
杉本秀太郎
1931 - 2015