写真の発明と普及により絵画が外観の忠実な再現を期待されなくなり絵画独自の表現を追求していく時代に、それぞれ独自のリアリティーを追求し、表現への真摯さと相反することのないユーモアと残酷の感覚をともに持ち続けた三人の偉大な画家、ピカソ・ジャコメッティ・ベイコン。その三人それぞれと交流のあった特異な表現者である詩人ミシェル・レリスが親愛の情を込めて綴った作家論の集成。それぞれの作家の作品が発する強烈な存在感について、自身の密度の濃い文章で跡づけていくように表現している。とりわけ印象的なのはピカソのユーモアの感覚と芸術作品へのユーモアの導入についてチャップリンの名を挙げながら称賛しているところで、この指摘によってピカソの作品を見る私の目は少し変わったような気がする。
※おそらく原文に忠実な翻訳で、ダッシュによる補足説明などが多く、すこし注意しながら読まないと文意がとりづらいところもあるちょっと九会のある文章だった。
【付箋箇所】
22, 33, 42, 61, 68, 72, 77, 78, 91, 106, 136, 152, 161, 162, 179, 182, 182, 197, 200, 220, 228241, 257
ミシェル・レリス
1901 - 1990
パブロ・ピカソ
1881 - 1973
アルベルト・ジャコメッティ
1901 - 1966
フランシス・ベーコン
1909 - 1992