読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

編著:赤羽喜治+愛敬真『ブロックチェーン 仕組みと理論 未来を創造するための最新動向と6つの基盤 増補改訂版』(リックテレコム 2019)

本業技術職系読書。

非中央集権的分散型台帳実現のための技術としてのブロックチェーン

基本思想に関心はあるものの、ビットコインには全く関心が起こらない。

金融商品としては、まだ実体のある金のほうに投資対象としての信用を置いている。

システム的なものよりも、問題は信用のネットワークの存在形態にあるのだと思う。

ブロックチェーンについては実現するためのコスト(マイニングにかかる電気代)の高さにも違和感がある。

資源不足が目に見えている世の状勢のなか、セキュリティ維持のためとはいえ法外なところまで行く可能性のある高コストシステムに頼るのはいかがなものか。

中央集権化体制による不利益か、分散化システムに必要な高コストかという二択に、身を任せたくはないなという思いを持つ自分がいる。

例えばブロックチェーン技術の、美術作品の真贋と所有者の権利を保証するというような利用については理解もできるし、コスト的な面も織り込めるであろうめぼしも付きそうではあるけれども、それ以外で納得できる有効な活用法というのは正直パッと思い浮かばないのが難点だ。登記事業に関しても売買回数の頻度と公共性の面から有効性はあると思われるが、ほかに事業として成り立つ仕組みがなかなか思い浮かばない。

本書も指摘しているように、技術ありきでプロジェクトをやみくもに立ち上げることには注意が必要だが、なにか人の思いつかないような有効打がないものかと考えてしまうのは世の常であり、気づきが起これば見方が変わるのも常道である。技術としてのブロックチェーンが話題にあがっている限り、まだ未知の開拓領域があるはずと多くの人が思っている状況ではあるのだろう。

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【目次】
基礎編
 第01章 プロローグ
 第02章 ブロックチェーンに至る流れ
 第03章 ブロックチェーン技術とは?
 第04章 ブロックチェーン技術の応用
 第05章 ブロックチェーンの業界動向
理論編
 第06章 ブロックチェーンの仕組み
 第007章 P2Pネットワーク
 第08章 コンセンサスアルゴリズム
 第09章 電子署名とハッシュ
 第10章 利用にあたっての課題
実践編
 第11章 Bitcoin Core
 第12章 Lightning Network
 第13章 Ethereum
 第14章 Quorum
 第15章 Hyperledger Fabric
 第16章 Corda
 第17章 エピローグ
付録 仮想マシンの構築、各種ツール類の解説、ほか

【付箋箇所】
77, 100, 112, 128, 131, 136, 155, 168, 350, 351