読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

コンピュータ

長尾真, 遠藤薫, 吉見俊哉 編『書物と映像の未来 グーグル化する世界の知の課題とは』(岩波書店 2010)

特定の私企業に知的財産権があるものの運用や保管を任せてしまっていいものか、すべてがデジタル化されてしまっていいものかという懸念を広く取り上げた一冊。市場原理にしたがう私企業が突然の態度変更することへのおそれと、デジタル化した後の紛失や劣化…

村田潔+折戸洋子 編著『情報倫理入門 ICT社会におけるウェルビーイングの探究』(ミネルヴァ書房 2021)

ICTはInformation and Communication Technology(情報通信技術)の略でインターネット等の通信技術を活用したコミュニケーションのことをいう。 本書は情報倫理の入門のテキストで、高度情報化社会でのウェルビーイング(善きありかた)を探求するために…

堀内進之助+吉岡直樹『AIアシスタントのコア・コンセプト 人工知能時代の意思決定プロセスデザイン』(ビー・エヌ・エヌ新社 2017)

AIアシスタントというのはスマートスピーカーのようなAIを利用するための仲介役をはたすデバイスやサービスのこと。IT業界に身を置いている立場上、ある程度の情報を入れておかないと話についていけなくなるので、情報収集と動向確認のため本書を手に取…

本間邦雄『時間とヴァーチャリティー ポール・ヴィリリオと現代のテクノロジー・身体・環境』(書肆心水 2019)

資本主義経済が光速の電磁波活動圏を手にしてから後の世界で、生身の人間がどう対応したらよいのか。まずは現状を確認するためにも、速度の思想家ポール・ヴィリリオに尋ねてみるのが適当だ。本書はヴィリリオ『電脳世界』の訳者でもある著者のヴィリリオ論…

松岡正剛+ドミニク・チェン『謎床 思考が発酵する編集術』(晶文社 2017)

謎床、なぞどこ。 謎を生み出すための苗床や寝床のような安らいつつ生気を育む場という意味でつけられたタイトル。 ぬか床で漬物をつけているという情報工学が専門のドミニク・チェンが、正解を導くために必要とされるある謎を生む必要があり、謎を触発した…

西垣通『集合知とは何か ネット時代の「知のゆくえ」』(中公新書 2013)

資本主義経済下で実学志向の御用学問としての色合いをますます強めていっている専門家による専門知の凋落傾向と、スポンサー重視の情報発信がもたらす弊害を、より強く感じるようになった二十一世紀の社会。あわせて、インターネットという情報インフラの進…

三宅陽一郎『人工知能のための哲学塾』(2016)『人工知能のための哲学塾 東洋哲学篇』(2018) AIに煩悩を持たせたいという発想

再読。ゲームAIに主観的世界と煩悩を持たせて一緒に遊びたいというのが基本発想。初読の際は、わざわざ機械に煩悩を持たせたらかわいそうだろうという感じを持ちながら好奇心で読みすすめていたが、今回再読している際には、自分の老後を考えて、感情のよ…

落合陽一を読み返す 『魔法の世紀』(2015)『デジタルネイチャー 生態系を為す汎神化した計算機による侘と寂』(2018)

落合陽一の主著二作を読み返す。圧倒的計算力を基盤にした計算機主導の環境変革のありようが描出されている。言語よりも計算に信を置く立場ながら、言語で書かれた書籍としての完成度は高く、時代の動きに触れられる記念碑的な作品となっていると思う。イン…

ショーン・ジェリッシュ『スマートマシンはこうして思考する』(原書 2018, 依田光江訳 みすず書房 2020)AI時代に発想を柔らかくするための一冊

著者ショーン・ジェリッシュは元Google機械学習&データサイエンスチームのエンジニアリング・マネージャ。技術的なことをいくらでも語れるだろうに、本書では歴史的な各プロジェクトを支えた技術についてではなく、暗礁に乗り上げた際にブレイクスルーを齎…

西垣通『生命と機械をつなぐ知 基礎情報学入門』(高陵社書店 2012)ネオ・サイバネティクス論の一分野として著者が提唱する基礎情報学の高校生を想定した初学者向け教科書32講

『基礎情報学 生命から社会へ』(2004)『続 基礎情報学 「生命的組織」のために』(2008)と展開してきた基礎情報学のエッセンスを提唱者本人が可能なかぎりわかりやすくコンパクトにまとめあげた一冊。図版の多用や本文中の具体例あるいは関連コラムで親しみや…

テレンス・J・セイノフスキー『ディープラーニング革命』(原書 2018 銅谷賢治 監訳 NEWTON PRESS 2019) 生体と機械のなかのアルゴリズム

ディープラーニング研究のパイオニアである著者が、自身と仲間たちの研究活動のエピソードとともに、ディープラーニングの開発の歴史と現在地を紹介する一冊。神経生理学とコンピューターサイエンスの融合しながらの発展の中心を歩んだ人々の姿に憧れを持ち…

【雑記】いたみ、とめる

※東証システムダウンの日、わたしもダウン気味で喘ぐ いらだちのげんいんはかんせつがいたいこと たえてやりすごすだけにしたいのにおとがめ みのたけをけずるおもいもうまれささくれる

マルティン・ハイデッガー「へーベル ― 家の友」(原書1956, 理想社ハイデッガー選集8 高坂正顕・辻村公一 共訳 1960)

ヨハン・ペーター・ヘーベルはドイツ語方言であるアレマン語によって詩集を編んだ詩人。ハイデッガーは母なる言葉、国言語の重要性に眼を向ける思索者なので、ヘーベルのような民衆詩人を称揚する。本論文は、ヘーベルの活動を語りつつ、二〇世紀の機械化の…

高岡詠子『シャノンの情報理論入門 価値ある情報を高速に、正確に送る』(講談社ブルーバックス 2012)

情報理論の父、クロード・シャノンを紹介した入門書。「あらゆる情報は数値に置き換えて表わすことができる」として、情報のデジタル化を理論的に支えた業績を3つの視点からとらえられるようにしている。 1.情報を量ることができることについて2.情報を…

須藤康介+古市憲寿+本田由紀『文系でもわかる統計分析』(朝日出版社 旧版 2012, 新版 2018)

数学が苦手な社会学者古市憲寿が狂言回しとなって、統計分析の初歩をレクチャーしてもらう対談形式の一冊。用語に馴染むというところからはじめてくれているので、敷居がとても低く初心者に優しい。IBMのSPSSを実際に操作しながら統計分析の手法を学んでいく…

長橋賢吾『図解入門 よくわかる 最新 量子コンピュータの基本と仕組み』(秀和システム 2018)

計算力が高まれば世界は変わる。一般市民にとってはたぶんセキュリティの世界が変わることにいちばん影響がでてくるだろうか。量子コンピュータは量子力学の現象を応用したコンピュータのことで、並列計算によって古典的コンピュータの計算力を超えることが…

新井紀子・東中竜一郎 編『人工知能プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」第三次AIブームの到達点と限界』(東京大学出版会 2018)

本書はキャッチ―なタイトルと親しみやすいカヴァーのイラストで一般向けの書籍の体裁をとっているけれども、実情としては人工知能系の国家予算供与プロジェクトの結果報告書といったもので、システム業界以外の読者層にたいして有益な情報は全篇通してそれほ…

ジョン・フォン・ノイマン『計算機と脳』(原書1958, 2000 ちくま学芸文庫 2011)

ノイマンの遺稿。現代コンピュータの生みの親が最後に綴った言葉は六十年の時を経てもなお輝きを失わない。第三次人工知能ブームの世の中で一般向けに出版されている解説文に書かれている基本的な重要情報は本篇100ページに満たないノイマンの原稿のなか…

『人狼知能 だます・見破る・説得する人工知能』(森北出版 2016)

人工知能で東大合格を目指していた東ロボくんプロジェクトが終了した(断念された)あとに注目すべきプロジェクトのひとつは人狼知能。村人に偽装した人狼と村人が混在したグループのなかで人狼と人間が互いを排撃するゲームをプレイするための人工知能を作…

栃内新+左巻健男 (編著)『新しい高校生物の教科書 現代人のための高校理科』 (講談社ブルーバックス 2006)

科学は日々進歩しているため、最新の学説を取り込むほど内容は面白くなってくる。ただ、理解ができないほど難しいと困ってしまうのだが、本書は執筆者の努力と熱量とで、生物についての興味が持続し、ほぼ書かれている情報をそのまま享受することができる。…

羽生善治+NHKスペシャル取材班『人工知能の核心』(2017 NHK出版新書)

一流の棋士である羽生善治は、人工知能についても専門家と話ができるほど造詣が深い。凄すぎる。 人工知能のロボットが社会に導入されていくとき、本当に問題がないのか、人間に危害を加えないのか、などを検証するにあたって、人工知能の苦手なことや特異な…

T・S・エリオット(1888~1965)の詩と散文 読書資料(CSV形式)

彌生書房のエリオット選集(1~3巻)と思潮社のエリオット詩集をベースにエリオットを読みすすめるための資料。CSV形式で保存後利用できるように加工。項目は邦訳題,原題,出版年,訳者,収録書籍,作品区分,資料通番の七つ。劇詩(キャッツ、カクテル・パーテ…

石川聡彦『人工知能プログラミングのための数学がわかる本』(2018)

自然言語処理系のAIは、まだバカっぽさが残っているところが愛らしく感じられて好きだ。はてなブログの関連記事の抽出機能はこの自然言語系のAIが担っているものと想定されるのだが、書き手の予想を外れる関連記事を持ってくることが多々あって、それはそれ…

伊藤恵理『みんなでつくるAI時代 これからの教養としての「STEAM」』(2018)

STEAMは科学、技術、工学、芸術、数学の頭文字。AI時代、データサイエンティストの時代と言われてから大学以降の数学の価値が急速に高まってきている。そこを選択し勉強してきた人、競争は激しくなったと思うけど、受け皿が拡大して良かったね。『容疑者Xの…

落合陽一『これからの世界をつくる仲間たちへ』(2016)

世界は「魔法をかける人」と「魔法をかけられる人」に二分される。魔法=高度な科学技術にはタネも仕掛けもあるのだから、カラクリに通じて、自分の人生に役立てましょうという勧誘の本。さらには、専門性を生み出し彩りを生むための変態性を擁護していると…

渡部徹太郎『図解即戦力 ビッグデータ分析のシステムと開発がこれ1冊でしっかりわかる教科書』(2019)

現時点でのビッグデータ分析の技術動向、ツールを一通り網羅していて基本的知識を入れておくのに便利。ビックデータ分析システムの上流のミーティングに呼び出される可能性があるときに、事前に読んでおけば、「困った、何言ってるかさっぱりわからん」の状…

山内長承『Pythonによるテキストマイニング入門』(2017)

チャンスが来たらテキストマイニングツールも使って作品分析、作家分析をやってみたいという望みを持っているので、状況調査として本書を読んでみた。一番有効な記述はデータ準備の部分。ツールを適切に使うために、事前に電子テキストを整形するためのコー…

堀江貴文『ハッタリの流儀 ソーシャル時代の新貨幣である「影響力」と「信用」を集める方法』(2019)

楽しんで生きているからそれほど表には出てこないが堀江貴文は努力と勤勉の人なのだ。 自分の望みとは関係なく、世間の目を気にして物事を決めてしまう。そんなツマラナイ人間のハッタリなんかに誰も乗ってこない。自分が恥ずかしくてできないがこの人はフル…

堀江貴文『すべての教育は「洗脳」である』(2017)

教育は洗脳、学習は自己調教。言い方だけという気もするが、相対化していくことは大事だと思う。堀江貴文はそんなことよりも「没頭する力」が大切と言っているけれど、アクセルを踏むための環境を整えるための状況確認として本書のような文章もとても大切。 …

堀江貴文『情報だけ武器にしろ お金や人脈、学歴はいらない!』(2019)

行動しながら情報を摂取していくことを勧める一冊。 情報を持たなければ、人は恐怖に駆られる。仕事や人生の、将来についての不安や恐怖の大半は「情報不足」が原因だ。今、「未来」の何かを怖がっているのなら、残念ながら、あなたは「情報弱者」ということ…