読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

2020-02-29から1日間の記事一覧

野口米次郎「沈黙の揺籃」(『夏雲』1906 より)

沈黙の揺籃 沈黙の揺籃から私の愛する詩人の歌が聞える、平和と記憶の無言の歌、年を知らない影の歌、永劫の霧の歌が聞える。私の愛する詩人の新しい無言の音律、春の夕の甘やかな無終の歌、睡眠の国を照らす月のやうな愛と涙の歌を私は聞く。 沈黙の揺籃か…

【謡曲を読む】新潮日本古典集成 伊藤正義校注『謡曲集 下』その2

狂い踊るのはこころの辛さに辛うじて対峙するため。能には、男亡霊ばかりで男物狂いが少ないところは、男のほうが現世での救いが少ないことのあらわれかもしれない、と、現代の読み手として勝手な思いを抱く。 【花筐】継体天皇の越前隠棲時代に愛した照日の…