読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

中嶋秀朗『ROBOT ロボット ―それは人類の敵か、味方か― 』

中嶋秀朗 
ROBOT ロボット ―それは人類の敵か、味方か―

ロボット--それは人類の敵か、味方か | 書籍 | ダイヤモンド社

2018

 

定義も歴史も現状も教えてくれる入門書。

ロボットの定義(JIS B8445:2016)
2軸以上がプログラム可能で、一定の自律性を持ち、環境内を移動して初期のタスクを実行する作動メカニズム
※「Pepper」「ルンバ」「ドローン」すべてロボット
p2

サイボーグの定義
人や動物などの生き物と(自動制御された)機械が融合したもの
※「心臓のペースメーカー」「人工内耳」
p187

 

本書の肝は、
ロボットは機械で「リアルな物資」(p170)なので
実際の速度での実験を数えきれないほど行わなければ学習用データが集まらないため、結果を得るには時間がかかります。(p176)
と言っているところ。
AIはすぐにコピーできますが、ロボティクスには技術と経験値の蓄積が必要だということです。(p169)

 

ロボットは大量生産は可能かもしれないが、製品化するまでに多くの時間を必要とするし、リリースされた後も個別チューニングやメンテナンスが必要になる。期待しすぎず、怖れもせず、機械とのより良い共生関係を時間をかけて創り上げていくことが必要なのだと教えられた気がする。

開発に時間のかかるリアルな機械の最先端として、脳からの指令を生体電位信号として皮膚を通じて取得し体の動きをアシストする「HAL」や筋電信号をセンサで取得し処理して指を動かす「メルティンMMI」の義手が紹介されていたが、その裏には大変な時間の蓄積があるのだなと想像する。


中嶋秀朗
1973 -