読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

大江健三郎 柄谷行人 全対話 世界と日本と日本人

大江健三郎 柄谷行人 全対話 世界と日本と日本人

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偉大な読み手二人による対談。批評家(哲学者)と小説家という違いはあれ、読み、それによって書くことを深めていった二人の人間の大きさを改めて体感した。

 

中野重治のエチカ 1994/06/07 収録

あからさまな権力装置よりも、家とか村とかいった私的な領域にこそそれ(日本社会のイデオロギー装置)が働いている。柄谷 p51

 戦後の文学の認識と方法 1996/05/21 収録

(神に対する認識においては)スピノザの「自然全体が神である。そして、神の認識が我々の認識のすべてでもある」というのが僕には安心できる出発点で、そこから見渡して、マルキシズムのことも考え、ポスト構造主義のことも考え、個人の責任ということも考えています。大江p118

世界と日本と日本人 1995/03/07 収録

神経症というのはambivalentなんです。精神分析の治療というのは、それをambiguousにすることだといってもいいと思います。それは葛藤の原因を取り除くことではなくて、たんにそれを知ること、つまり、解決できない状態に自分があることを率直に認められるようになることですね。両義性を肯定できることが「治る」ということなんでしょう。柄谷p138

しっかり読むことから考えることが始まる。


大江健三郎
1935 - 
柄谷行人
1941 -