読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

2020-02-07から1日間の記事一覧

鬼束ちひろ「月光」(2000)

2月1日のNHK総合のSONGSは凄かった。久々に地上波で見た鬼束ちひろが歌いはじめた瞬間、異界に引きずり込まれたような衝撃が走った。 I am GOD'S CHILDこの腐敗した世界に堕とされた ってイエスかよ。20年前リアルタイムで聴いていた時とはまた違った重量感…

野口米次郎「薄明」(『夏雲』1906 より)

薄明 私は薄明の行方を見届けんとその後を追ふ………薄明は日中の光明のなかへ消える。私は再び薄明の行方を見届けんとその後を追ふ………薄明は夜の暗黒のなかへ消えうせる、おお薄明よ、私に語れ光明と暗黒とは同じものであるか。 私は歓喜から泣いたそれは昨日…

カール・ヤスパース『ニコラウス・クザーヌス』(原書1964, 訳書1970)

ヤスパースは思弁哲学者としてのニコラウス・クザーヌスを称揚し、キリスト者や教会運営者としてのニコラウス・クザーヌスを批判する。キリストへの信仰の有無で救いが分かたれるという発想が押し出されて来ると、やはり非キリスト者としては賛同しかねるの…