読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

2020-10-22から1日間の記事一覧

【ハイデッガーの『ニーチェ』を風呂場で読む】10. 衝突の瞬間 永遠回帰で回帰するものは決断が切り開くという瞬間

瞬間の出来事を一般に向け表明し説明することは難しい。瞬間という観測対象になりがたい瞬間を評価対象に掲げることの難しさが顔をのぞかせている。 《幻影と謎について》 ツァラトゥストゥラの動物たち 《恢復しつつある者》 瞬間に立つ人は二重の方向を向…

仲正昌樹『現代哲学の最前線』(NHK出版新書 2020)具材が多くても味は荒れていない良質なガイド

読むことが職業とはいえ、よく読んでいる。そして基本的に自分を出さず、主要プレイヤーをフラットに紹介することを心がけている点に、教育者としての矜持がうかがえる。扱われている5つのテーマ、テーマごとの多くの理論家すべてに関心をもち、著作を覗い…

マルティン・ハイデッガー「同一性の命題」(原書 1957, 理想社ハイデッガー選集10『同一性と差異性』 大江精志郎 訳 1961)「A=Aという型式は何を言い表しているのであるか?」

同一性の命題、この最上位の思考法則はなにを言い表しているのかという、日常的には浮かび上がっては来ない問いを問い、答えをあたえようとする講演論文。パルメニデスの言葉「同じものは即ち思考であるとともにまた存在である」を軸に、解き明かしが試みら…