読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

絵本

ハンス・フィッシャー『メルヘンビルダー フィッシャーが描いたグリムの昔話』(佐々梨代子+野村泫訳 こぐま社 2013)

バウハウスで教鞭をとっていたパウル・クレーであるが、弟子を探そうとするとハンス・フィッシャーくらいしか出てこない。 画家というよりも絵本作家で、クレーの作品や教えからどのような影響があるのか、グリムの童話一作を一枚の絵の中に描く手法(一枚絵…

柳瀬尚紀訳 ロアルド・ダール『脚韻(きゃくいん)ソング』(原著 2005, 評論社 2008)

ロアルド・ダールの物語作品の中にちりばめられた詩や歌を拾い集めた全47篇の韻文アンソロジー。ルビつきで、総勢26人というたくさんの、それぞれ個性的なイラストレーターの挿し絵がついていて、贅沢な絵本作品集を読んでいるような感じにさせてくれる…

CD付き絵本『けろけろ ころろ Kerokero Kororo - A Summer Festival at Frogs-Pond』(絵:富山妙子 文・音楽:高橋悠治 福音館書店 2004 )

ピアノ奏者としての高橋悠治のCDよりはお目にかかることの少ない作曲家としての高橋悠治の自演ピアノ曲が付いた絵本。長年にわたり共同制作を行ってきた画家富山妙子との共作絵本でもある。政治色が強い一般層向けの作品とは違い、読み聞かせ対象年齢が3…

ジェイムズ・ジョイスの絵本『猫と悪魔』(小学館 1976 丸谷才一訳 ジェラルド・ローズ画)

1936年8月10日に孫のスティーヴンに宛てて書き送ったお話をもとに絵本に仕立てた作品。ジョイスの愛らしさが際立つ一冊になっている。柳瀬尚紀に出会うまではなんだか難しい顔してジョイスを読んでいたけれど、完全にパロディ志向の人なのだなと、文章に向き…