バウハウスで教鞭をとっていたパウル・クレーであるが、弟子を探そうとするとハンス・フィッシャーくらいしか出てこない。
画家というよりも絵本作家で、クレーの作品や教えからどのような影響があるのか、グリムの童話一作を一枚の絵の中に描く手法(一枚絵)の作品を9篇、しばらく眺めつづけていたが、いっこうにわかってきはしなかった。
ただ、無造作に描かれているようでいて、多くの要素を破綻なくリズムをもって構成しているところは、眼も頭も楽しませてくれて、日本でも人気がある作家であるということに納得がいった。
グリム童話の残酷でいながら愛らしくもあるへんてこな世界にしばらくの間浸れるのもよい。
休日の息抜きにふさわしい、描きすぎない軽妙な線と淡い色彩の饗宴が楽しめる。
【目次】
ヘンゼルとグレーテル
うさぎとはりねずみ
赤ずきん
「おぜんよ、したく」と金だしろばと「こん棒、出ろ」
長ぐつをはいた雄ねこ
おおかみと七ひきの子やぎ
しあわせハンス
ならずもの
七羽のからす
解説 グリムの昔話と一枚絵
ハンス・フィッシャー
1909 - 1958
パウル・クレー
1879 - 1940