ジャック・ルーボーの極私的東京案内
訳:田中淳一
2005, 2011
ジャック・ルーボーはフランスの詩人、数学者、作家。師匠はレーモン・クノー。実験文学集団「ウリポ」のメンバー。日本語は読めないが相当な日本文学マニア。本作に引用、参照される日本の歴史的人物の多さと理解の深さに驚かされる。日本人ももっと勉強しなくてはいけないと楽しませつつも思わせてくれる。
藤原定家『百人一首』『毎月抄』
紀貫之『古今集』
鴨長明
本居宣長 1730 - 1801
永福門院 271 - 1342
『源氏物語』
『新体詩抄』1882
山口誓子 1901 - 1994
サガキ・ムリオ(鈴木六林男? 1919 - 2004 )
道元 1200 -1253
源頼政 1106 - 1180
『万葉集』
山部赤人 - 736
世阿弥の「九位」 1363 - 1443
壬生忠岑の「和歌体十種」
高橋延清『どろ亀さん』 1914 - 2002
上口作次郎 1892 - 1970
永井荷風 1879 - 1959
武島羽衣 1872 - 1967
中原中也 1907 - 1937
小津安二郎 1903 - 1963
山手線一周の詩的旅行記の中にスタイル軽く和歌を中心としてた日本の様式についての考察と実験を取り入れてしまう文学的センスが光る。記述法は手順書あるいは設計書を階層ごとに多色刷りしたような感じで、それぞれの文がたどりやすくなっている。
番号25(第一階層)
<計画>山手線に乗ってすべての駅に行くこと。一日に一駅。それぞれの駅(スタシオ)は未来の俳文の一停止点(スタシオ)にあたる。
番号81 駅=停止点29(最終)「代々木」(第一階層)に書き留められたソネットの最終節
みんなふっくら丸い顔の、おどけ好き
ぼくは雀たちのそばに傘を置く。
ベンチ。皇帝の木々に向きあう暑い朝
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ジャック・ルーボー
1932 -
田中淳一
1941 -