読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

東直子『青卵』(2001, 2019)

誘惑しないセイレーンがひとりつぶやくような歌。ひとたび歌の世界に入ってしまうと、静かなさみしい世界に身動きとれずに置き去りにされてしまうようで、心が弱っているときには少し危険。作者は歌いおえてしまっているが、それに応じることはなかなかむずかしい。

肉親が集いて青い魚を食む ひからびてゆく百合を背にして


頭痛薬のみこむようにうなずきぬパパたちだけの中に座って

筑摩書房 青卵 / 東 直子 著

東直子
1963 -