2024-11-01から1ヶ月間の記事一覧
1995年にノーベル文学賞を受賞したアイルランド出身の英語詩人の晩年の三詩集。 濃密で匂い立つような田園と都市の時空間を、豊かな語彙でしっかりと、だが軽快さをもって描き上げている、落ち着きとユーモアとノスタルジーにあふれた作品群。素朴である…
所有している単行本『鏡・空間・イマージュ』『紙片と眼差とのあいだに』を再読した勢いに乗って著作集に手を出した。 現代的な絵画とテキストをめぐるシニフィアンとイマージュの終わりなき戯れについての論考の数々。 表現されたものの表面の輝きを軽妙に…
ホワイトヘッドの哲学は「有機体の哲学」と言われるとともに「プロセス哲学」とも言われ、この宇宙が生成し変化していく様を捉えて描き出そうとしているものであるようだ。 私は今回ホワイトヘッドを主にドゥルーズとどのような関係にあるのかという関心から…
私生活と経験に絡めながら哲学書を読んで思ったことを書き留めるというスタイルの小説。ブログを書くのに何か参考になるかなと期待を込めて久しぶりに再読したが、哲学書を読む資質、哲学書を語る経験と環境、テキスト引用の分量など、諸々のハードルが目の…
1955-1956に行われたラカンの第3セミネール。シュレーバーの回想録を読み進めながら精神病の特質を神経症との違いから考察していく講義録で、弟子筋の精神分析家に対しての教育的側面が強く表れていて、分析家ではない一般読者には少々近寄りがたい空気も強…
ラカンのセミネール第2巻は『快楽原則の彼岸』をひとつの中軸テキストとして扱っていて、反復と機械という視点から人間を検討しているところが特に面白い。 以下、気になった点のメモ。 ・利己愛が騙すものであり、自我という想像的機能が欺く性質のもので…
刊行詩集全17冊。37歳で初めての詩集『氷った焔』を出してから、詩集ごとに様々に趣の異なる詩作品を制作している詩人であるが、いずれも成熟した安定感のある詩集に仕上がっているところには感心させられる。青年期から書くことには自信を持っていたよ…