読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

2024-10-01から1ヶ月間の記事一覧

ジャン=フランソワ・リオタール『文の抗争』(原著 1983, 法政大学出版局 1989)

『ポスト・モダンの条件』の後に書かれたリオタールの大きな書物。存在あるいは存在者について、文の生起・連鎖・抗争という視点から論じた著作で、ウィトゲンシュタインの言語ゲームとともにカントの特に崇高論の大きな影響下に思索が展開されている。ひと…

ジャン=フランソワ・リオタール『ポスト・モダンの条件 知・社会・言語ゲーム』(原著 1979, 訳:小林康夫 水声社 叢書言語の政治 1986)

初読。 大きな物語の失墜したポスト・モダンの時代を告げる宣言の書かと思っていたが、ちょっと違った。60年代後半からポスト・インダストリーという概念とともに主にアメリカで言われはじめたポスト・モダンの時代状況を、検討分析し報告するという形式の…

今道友信『美の位相と芸術 増補版』(東京大学出版会 1971)

今道友信の主著のひとつ。体系的に書かれているため、著者の方向性がしっかり出ているとともに美学史全般に対するひとつの視座も与えてくれる。 特徴 1.美的判断は趣味判断ではなく理性判断であると主張しているところ 2.機械化の極度に進んだ現代の技術…