2024-08-01から1ヶ月間の記事一覧
人間の種としての限界に抵抗するために、限界の存在を忘れずに、資本主義市場に取り込まれることもなく、仕事をやめて、人を非人間化してしまう人間主義的なシステムに抵抗していくことをさまざまな切り口から繰り返し説いた講演集。感受性の限界に関わる崇…
作家町田康の初の歌集、全352首。 共感の乞食となりて広野原彷徨いありく豚のさもしさ鈍色のダサい鉄下駄突きかけて己の中の豚の餌遣り 豚に喰わせるために出した歌集だろうか。読みはじめたら豚でもあるように自覚してきたので普通に全部食してみたが、…
インターネット時代において、より進行した負の側面、個人の分断孤立化と格差の拡大、偽情報や対立の蔓延などに危機感を抱く編者吉成真由美が、インタビュアーとなって、現代を代表する知の世界の巨人たち5人の考えを聞くという趣向の一冊。 研究する分野も…
ファインチューニングされたAIを持つことの優位性と、AIチューニングにおいての嗜好性の特化による品質優位性獲得という視点が印象に残った。 マスマーケットではなく特定ターゲットに絞ったAI活用のほうがビジネスとして成功の可能性は高いようだ。 平均的…
『現代の哲学』(講談社学術文庫 1991, 日本放送出版協会 1969) 木田元の処女作。気負いもあり凝縮度の高い著作で、一通り読むのに緊張感を強いるところもあるのだが、20世紀の学問的状況を通時的に、幅広く、手際よく整理しているところが魅力的な著作。…
脳とAIの融合の可能性に関する医学系研究者からのレポート。 身体疾患へのケアと脳の機能拡張という視点からの言及が多い。 脳へのアプローチにおける倫理的な面と身体に対する負荷について、現在の状況と今後のAI発展の予想をベースに展開している著作。内…
フランスの歴史家ミシュレの死後出版された未完の作品。『フランス革命史』を書き上げた後、ルイ・ナポレオンのクーデターによって成立した第二帝政期に共和制支持の立場を崩さなかったがために、コレージュ・ド・フランス教授職ほかすべての公職を失うこと…
『存在と時間』刊行以前に書かれた数少ないハイデガーの論考「ナトルプ報告」の邦訳単行本。 同時期の講義録とは趣が異なり、アリストテレスの著作に基づいて自説を展開しているところに読者としては多少の捉えやすさがある。 世界と己への配慮のなかでの精…
『存在と時間』刊行以前、「ナトルプ報告」のもとにもなったハイデガー初期の講義録。 哲学とは何かということを、言語を用いて問いを立てるということはどういったことかというところから論じている。 また、生のなかでの有意義なものの様相を記述しようと…
医学、メディア、言説、享楽などさまざまな領野における経済性と効率性に対する戦いの宣言書。のっぺりとして歯止めの効かなくなっていく内面と社会に対して、起伏と陰影のある溜めと含みを持った反現代的とも言える内面と社会を擁護している。時に戦いの相…