和歌を読む限りでは樋口一葉は情念の人。着火が早く、燃えはじめたら火力が強い。和歌に関してはどちらかというと燃えあがる前のどこかに静けさをたたえる歌の方が好み。
071 おもふことすこし洩らさん友もがなうかれてみたき朧月夜に
112 涼しさもとなりの水の音なひはよそのたからのこゝちこそすれ
150 朝がほの今咲きぬべき花の上におぼつかなくも残る月かな
283 ひたすらに死なばともにといのるかな我なき後のうしろめたさに
また散文も読んでみよう。
筑摩書房 樋口一葉 和歌集 / 樋口 一葉 著, 今井 恵子 著
樋口一葉
1872 - 1896