読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

ペトラルカ『カンツォニエーレ』(池田廉訳 名古屋大学出版会 1992)

ペトラルカの『カンツォニエーレ 俗事詩片』の全訳、全366歌。選集とは違った味わいがあるので全訳があることは大変貴重。

軽快、快活、ユーモラスな第一部と、愛の対象たるラウラを亡くして後の悲哀と栄光に彩られることの多い第二部との対象も見どころ。イタリア美術の図版が挟んであるのが、また刺激的。たいへん美しく、ペトラルカの詩の世界に、詩句自体とは違ったところから生気と輝きを付け加えている。

訳注も充実しているが、こちらは少し時間をかけて馴染んでいかないと宝の持ち腐れになりそう。ある程度の詩句の特徴を頭に入れたうえで、本篇を滞りなく読みすすめるところまでいくと、また違った味わいが出てくるのだろうと思う。一定の速度を保って読みすすめるほうが、ペトラルカは楽しく読めると思う。

www.unp.or.jp

【付箋箇所(歌番号)】
7, 15, 23, 47, 48, 57, 71, 80, 89, 109, 113, 118, 119, 124, 134, 148, 168,180, 190, 196, 231, 241, 257, 268, 273, 279, 309, 313, 325, 331, 349, 359, 364, 366

目次:
カンツォニエーレ
 第Ⅰ部
 第Ⅱ部

大意・評釈・成立年代・影響
解説


フランチェスコ・ペトラルカ
1304 - 1374
池田廉
1928 -