読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

ヴラジーミル・マヤコフスキー『一五〇〇〇〇〇〇〇』(原著 1921, 小笠原豊樹訳 土曜社 マヤコフスキー叢書7 2016)

表題はロシアの総人口数1億5千万からとられたもので、ロシア革命後に書かれた二番目の長篇詩。

アメリカ側をウィルソンとロシア側をイワンとして、20世紀のトロイ戦争として両大国の間の闘争を詠った長篇叙事詩
ロシア側の革命を賛美し、ロシア側の優位を謳いあげているにもかかわらず、献本したレーニンの評価は否定的で「図書館と変人どものため」の詩だと拒絶されている。「ナンセンスだ、ばかげたことだ、手に負えぬ馬鹿さ加減だ、衒いだ」と。架空幻想譚に近い『一五〇〇〇〇〇〇〇』を若い詩人のいい気な戯れだとでも思ったのだろう。

ほそい動脈の
      一本一本に
           おれたちは浮かべよう、
詩的虚構のおとぎの船を。
世界は正しくおれたちの
予言どおりになるだろう、

スピード感のある軽快で愉快な祝祭感のある作品は、朗読を聞いた労働者たちには非常に受けていたようで、革命の勝利者側の高揚感のなかで好意的に受け入れられられた解放の書なのだろうなと感じた。

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