この混雑からくるいかがわしさが「文化」とかいうもので、それが成立するには、あるていどの稠密が必要となる。関連のないものや、対立するものや、無意味な連想でつながっていってしまうものの稠密さだ。(「あとがき」p166)
18世紀の豪奢で朗らでにぎやかな面を伝えてくれる一冊。個人的には円山応挙の作品が多く取り上げられていて満足。『百蝶図』(p11-12)も『人物正写図巻』(p82-83)も「あり得ないものが共存するユートピア」となっていて「めでたい」。
本としては、見開き二頁に図版が大きく配置されていて贅沢なつくりになっている。
田中優子
1952 -