読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

田村隆一の詩を読む〔一周目〕その1:全集1 『四千の日と夜』(1956)~『死後』(1976)

戦後も戦後詩もだんだん霞んでいく。熱かったものも拡散して冷えて判別がつかないものになっていく。そんなことを感じながら戦後詩の代表的詩人の田村隆一をよんでいく。

 

全集1には6詩集が収録されている。


『四千の日と夜』(1956)
『言葉のない世界』(1962)
田村隆一詩集』(1966)
『緑の思想』(1967)
『新年の手紙』(1973)
『死後』(1976)

 

一篇の詩は
かろうじて一行にささえられている
それは恐怖の均衡に似ている
人間は両手をひろげて
その均衡に耐えなければならない
一瞬のめまいが
きみの全生涯の軸になる

 

『新年の手紙』収録の「おそらく偉大な詩は」の冒頭七行。

今回いちばん響いた詩のことば。

軸はいっぽん。

ありすぎてはいけないものだろう。

 

田村隆一
1923 - 1998