読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

谷川俊太郎編『三好達治詩集』(彌生書房 1965)

編者谷川俊太郎のこころの柔らかさが感じとれる三好達治の詩選集。散文もふくよかな情感がさらっとまとめられた小文が選ばれていて、三好達治に好感を持ちやすく編集されている。代表作『測量船』にあまりこだわりのない生涯を通しての作品から、谷川俊太郎の好みに合った軽やかで妙味ある作品が多く選ばれている印象がある。

裾野

その生涯をもて 小鳥らは
一つの歌をうたひ暮す 單調に 美しく
疑ふ勿れ 默(もだ)す勿れ
ひと日とて 與へられたこの命を――

Wikipediaの人物評を見ると、激情に走りやすい性格の持ち主のようであるが、詩に於いては全体的に抑制が効いているようである。ただ、戦争詩がまったく採られていないこともあり、詩人の全体像を見るには、ほかの書物にもあたったほうがよいかもしれない。

 

三好達治
1900 - 1964
谷川俊太郎
1931 -