読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

執筆・監修:河野元昭『琳派原寸美術館 100% RINPA!』(小学館 2022 作品解説:山本毅)30×21cm

俵屋宗達尾形光琳酒井抱一、鈴木其一の代表的作品から選りすぐりの23点を原寸で鑑賞。室町末期から江戸末期までの日本近世絵画のなかで独特のデザイン性と高度な技巧で輝きを放っていた琳派の世界に深く入り込むことができる。展覧会に行ってもなかなか確認できない絵師の技術がよく見て取れて、変色や落剥がない制作当時であればさらに驚くべきものであったであろうと嘆息する。まさに日本ならではの絵の姿。解説は河野元昭のものも山本毅のものも絶賛絶賛また絶賛でちょっと息継ぎが欲しくなるくらいだが、解説を離れて何度か絵そのものを見返していると、執筆者の熱を持ってしまうのもなんとなく分かってくる。原寸で見てみるとサイズ的に大きな作品であるものが多く、近くで見るだけではなくいろいろな距離感や角度から見てみたくなってくる。琳派展だけではなく有名どころの作品展は人気があって自由気ままに見るのはなかなか難しいけれども、貸し切り状態のようなガラガラの状態でじっくり味わってみたいものだ。

 

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【目次】
はじめに 琳派の名作を原寸で鑑賞する意義
第一章 謎に包まれた琳派の祖 俵屋宗達
  『源氏物語関屋澪標図屏風』
  『風神雷神図屏風
  『蓮池水禽図』
  『舞楽図屏風』
  『鶴下絵三十六歌仙和歌巻』
  『扇面散屏風』
  『松島図屏風』
 解説1 謎の絵師俵屋宗達と『源氏物語関屋澪標図屏風』
第二章 琳派の"琳"は光琳の琳! 尾形光琳
  『燕子花図屏風』
  『紅白梅図屏風
  『孔雀立葵図屏風』
  『竹梅図屏風』
  『槇楓図屏風』
  『雪松群禽図屏風』
  『群鶴図屏風』
  『富士三壺図屏風』
第三章 光琳への憧れを形にした武家の絵師 酒井抱一
  『絵手鑑』
  『夏秋草図屏風』
  『波図屏風』
  『秋草鶉図』
  『三十六歌仙図』
 解説2 酒井抱一伊藤若冲 『絵手鑑』に隠された謎
 解説3 月光の絵師、酒井抱一と『波図屏風』
第四章 琳派を近代へと受け継いだ奇想の絵師 鈴木其一
  『夏秋渓流図屏風』
  『水辺家鴨図屏風』
  『柳に白鷺図屏風』


河野元昭
1943 -