読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

矢内原伊作『ジャコメッティ』(編:宇佐見英治+武田昭彦 みすず書房 1996)

1956年から1961年にかけての五度にわたってジャコメッティのモデルをつとめた経験から生まれた哲学者矢内原伊作のテクストと日記およびメモにジャコメッティからの手紙を添えてジャコメッティ晩年の基本的資料集成を目指した一冊。完成させることをあらかじめ断念してはいるが尚且つ日々創作に向かうジャコメッティと、ひたすらポーズしつづけ創作に関する芸術家のつぶやきを記録しつづけた矢内原伊作が織りなす、創造と無限のポエジージャコメッティのモデルとなった著述家はいずれも芸術家に関する文章を綴らずにはいられないようで、創造のひとつの極限の状態を目の当たりにした畏怖と喜悦をとどめおこうとしている。矢内原伊作ジャコメッティの親族以外では最も数多く最も長くモデルをつとめた人物で、作品制作に関わるジャコメッティの言葉を最も多く書きとどめた人物でもある。2010年にはより大部な矢内原伊作の『完本 ジャコメッティ手帖』が出版されてもいるが、本書は芸術家とモデルとの関係をより多角的に一冊のまとまったかたちで提供してくれているところに価値があり、今後もジャコメッティ愛好家に読まれつづけるだろうと思われる。

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【目次】
Ⅰ ジャコメッティとともに
Ⅱ その後のジャコメッティ
Ⅲ ジャコメッティからの手紙
Ⅳ ジャコメッティについての日記・手帖(1960年8月‐9月/1961年7月‐9月)
Ⅴ アルベルト・ジャコメッティ略年譜

解題
あとがき  宇佐見英治/武田昭彦

【付箋箇所】
11, 16, 36, 51, 56, 59, 91, 120, 151, 157, 161, 169, 171, 185, 194
ジャコメッティについての日記・手帖」は上下二段組み(a:上段、b:下段)
204a, 208a, 211a, 215, 224a, 228a, 230b, 232b, 233b, 235b, 236a, 245b, 246b, 252b, 255a, 256a, 256b, 258a, 259a, 261b, 269b, 270a, 272a, 281b, 286b, 295b, 296b, 297a, 298a, 300b, 302b, 306a, 311a, 316a

アルベルト・ジャコメッティ
1901 - 1966

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矢内原伊作
1918 - 1989

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宇佐見英治
1918 - 2002

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武田昭彦
1952 -