レンブラントの生涯と作品を追う本篇とレンブラントの実像にいくつかの角度から迫る資料篇の二段構成からなるコンパクトでありながら充実した導入書。本篇を執筆したのがフランスの作家、小説家、美術評論家であるパスカル・ボナフーで、レンブラントの起伏の激しい生涯をレンブラント伝説といわれるものを核として逡巡なく書き上げている。他書に比較すると研究書的な厳密さに欠けているところもありそうだが、素描・版画・油彩のすべてに目くばせのきいた豊富で適切なカラー図版とともにレンブラントに関する基礎的情報を取り込みやすく、なにより読みやすいところが良い。日本版監修者による資料篇では、ドラクロワとゴッホのいくつかのレンブラント評がピックアップされているところや、専門書でもなければ載せることもないであろうレンブラントの資産一覧表が掲載されているところなど、分量的に少ないにかかわらずかなり充実している。本篇・資料篇ともに気軽に見返し読み返すことができる軽快で親しみやすい一冊
【目次】
第1章 「黄金の世紀」の始まり
第2章 光の時代
第3章 影の時代
第4章 ただ、自らを見つめて
資料篇 巨匠の実像を追う
レンブラントの生涯
画家たちのレンブラント評
小説・レンブラント
競売用に作成された、レンブラントの資産一覧
レンブラント略年譜
【付箋箇所】
84, 88, 105, 119139
パスカル・ボナフー
1949 -