読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

柄谷行人『帝国の構造 中心・周辺・亜周辺』第2章「世界史における定住革命」

定住革命がなぜ起こったかについて再確認(『佐藤優さん、神は本当に存在するのですか? -宗教と科学のガチンコ対談』のなかで、確か「支配するため」となっていて違うと思ったため)。

定住は、それまでコンスタントな移動によって免れていた諸困難に、人々を直面させる。とすれば、なぜ狩猟採集民は、あえて定住するようになったのでしょうか。それは、根本的には気候変動のためだと思います。人間と人間の関係あるいは交換の根底には、「人間と自然の交換」の様態があるのです。(p48)

柄谷行人の基本的な発想として、事が成るには外部からの強制がある、というものがあると私は思っている。

氏族社会では、遊動的社会にあった重要な側面(引用者注:遊動性=自由)が失われています。しかし、それはいかに抑圧されても回帰してきます。それは、国家社会や資本主義社会の中においても回帰してきます。人が忘れようとしても、また、実際に忘れても、それは人間の意思に反して、戻ってくるのです。(p58) 

 氏族社会にみられた互酬性は世界宗教として回帰した。遊動性=自由は果たしてどのように回帰するのだろうか? 柄谷行人は世界共和国、アソシエーションというものを出してきているが、私自身は大きな規模の組織はあまりリアルに感じ取れていない。生活の一部領域での自由+純粋贈与ということであれば、互助的なボランティアグループみたいなものかと考えたりはするのだが、強制的に回帰するというレベルの話になると、とらえ方が小さすぎるような気もしている。

青土社 ||哲学/思想/言語:帝国の構造
2014

 

柄谷行人
1941 -