読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

【ハイデッガーの『ニーチェ』を風呂場で読む】20. 調和 渾沌と渾沌とのバランス

環境という外側世界も渾沌、人間という内側世界も渾沌。渾沌と渾沌とのバランスがとれたところが正義であり、正当であり、是なるもの。バランスのあり方のさまざまな差異の認識を含めてのバランス感覚としての生の感性。受容と開発。

 

形而上学的に把握された真理の極限的な転化
正義としての真理
力への意志の本質 生成の臨在性への持続化

われわれが問おうとしたのは、人間的認識の命令的性格と人間的理性の創出的本質とは、その権利と基準を示す根拠をどこに仰ぐかということであった。その答えは、正義のうちに、ということである。正義とは、これまで標識してきたその構成に照らしてみると、人間が渾沌との間に形成するあらゆる種類の調和――これが芸術における高次の調和であるにせよ、あるいは認識における調和であるにせよ――の必然性と可能性の根拠である。生そのものが根本において、ニーチェの正義と呼ぶものであるがゆえに、命令的な説明と創出的な聖化が《正当な》のであり、是とされるのである。(「正義としての真理」p219 )

マルティン・ハイデッガー
1889 - 1976
フリードリヒ・ヴィルヘルム・ニーチェ
1844 - 1900
細谷貞雄
1920 - 1995
加藤登之男
1919 -
船橋
1929 -