読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

藤原定家『拾遺愚草』を読む 冷えた光と風のある世界

藤原定家の私歌集『拾遺愚草』正篇2791首をちくま文庫の『藤原定家全歌集 上』(2017)ではじめて通読。本文庫が出る前は図書館でもなかなか出会うことが難しかった歌集であったので、ありがたい。久保田淳による注釈、現代語訳ははりとあっさりしているものの、初学者にとっては逆に気負わずに参照しやすく便利。定家の冷えた感覚をしずかに鑑賞することができて、読後の印象はよかった。

 

1   いづる日のおなじ光に四方の海の浪にもけふや春はたつらむ

144  大かたの秋のけしきは暮はててたゞ山のはのありあけの月

1800 あまつ風みがく雲ゐにてる月の光をうつすやどの池水

2346 ふきみだる雪のくもまをゆく月のあまぎる風に光そへつゝ

 

もののない吹き抜けの精神世界。

 

【付箋歌番号】
1, 11, 43, 135, 144, 171, 173, 233, 343, 450, 468, 573, 588, 697, 736, 765, 831, 864, 971, 1049, 1052, 1053, 1099, 1333,1365, 1580, 1583, 1588, 1620, 1625, 1638,1678, 1682, 1703, 1800, 1817, 1881, 1883, 1979, 1984, 2021, 2140, 2167, 2175, 2197, 2279, 2340, 2346, 2385, 2490, 2493, 2635, 2721, 2733, 2761

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藤原定家
1162 - 1241
久保田淳
1933 -