読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

『自選 串田孫一詩集』(彌生書房 1997)

新潮美術文庫43『ブラック』の串田孫一の解説が歯切れがよく自分の鑑賞を自信をもって打ち出しているところが爽快だったので、詩人としての作品を読んでみることにした。散文と同じく小気味よく晴れ上がったような表現が基本で、さっぱりしている。
表記は旧字新かなで、読めない漢字も結構出てくるので、そこは面倒くさがらずに調べながら読みすすめる。旧字の踊るようなたたずまいにはどきどき陶然となった。表記も詩で詠われている内容も、どこか古代に通じているようなカラッと乾いたさわやかな風のような印象を与えてくれた詩集。

天へ飛び立って行くような歓喜
永遠なものに包まれてしまった哀愁と
それが儚い人間には必要なのです
冷たい水もう一杯のみますか
(「山頂」より 実際は旧字)

【付箋箇所:作品名】
モディリアニが通る

杖が倒れる
三十年
ぼくもゆれる
悪魔
整頓
午睡に見た夢
午前の陽射
山頂
けものの子
鳥-6
海-3

勿忘草


串田孫一
1915 - 2005