読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

小海永二訳『アンリ・ミショー全集』2(青土社 1986)

アンリ・ミショーの後半生(一九五四~一九八五)の主要な詩集および詩的エッセー集を集めた全集第二巻。以下七冊分を収録している。

閂に向きあって 1954  55歳
夢の見方・眼覚め方 1969 70歳
様々の瞬間  1973 74歳
逃れゆくものに向きあって 1975 76歳
角の杭 1981 82歳
求められた道・失われた道・違反 1981 82歳
移動と除去 1985 遺稿集、死後出版

絵を描く自由に比較すると詩を書くことは苦しいといったようなことを述べていたアンリ・ミショーだが、最晩年にいたるまで書くことはやめなかった。むしろ、とどまることなく指名でもあるかのように旺盛な執筆をつづけている。身体と精神の変容にについてのやみがたい探究は、それをやめてしまえば何かが崩壊してしまうような鬼気迫るものを時に感じさせながら、ミショーにしか書けないテクストを生みつづけていった。書きつづけることが生きることであった人物のひとつの典型であろう。

君は君自身に感染する。そのことを忘れるな。
《自分に》感染するのを放っておくな。
(「角の杭」より)

【付箋箇所】
41, 50, 89, 102, 238, 240, 257, 266, 278, 318, 320, 340, 352, 360, 362, 368, 371, 461, 494, 504, 516, 522, 535, 552, 591, 596, 636, 646, 659, 660, 681, 695, 698, 726, 743, 854, 892, 931, 933, 943, 953, 962, 966, 976

アンリ・ミショー
1899 - 1984
小海永二
1931 - 2015