読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

ジャック=アラン・ミレール編 ジャック・ラカン『不安』(セミネール第十 1962-1963 原著 2004, 岩波書店 2017 上下全二巻)

およそ二年ぶりくらいの再読。ほとんど忘れているが前回と比べて違うところに気がひかれているという感触もあり頭から通読した。借り物だと意図せず再読することもあるので、そこは流れに任せている。

不安は裏切らない、騙さない。他なるものの脅威としてあらわれるものであるから。精神分析は幼児期の人間の観察と分析からなされているので、人間という種のメカニズムをドライに教えてくれるところがあるのも良い。

子供は、呼吸をしなくてはならない世界に現れることで、まず文字通り窒息させられ、息を詰まらせるのです。これがトラウマと呼んできたものです。他にトラウマというものはありません。出産時トラウマ、そこでは母との分離が問題なのではなく、本質的に〈他〉なる環境において、自力で息を吸わなければならないことこそが問題なのです。

【付箋箇所】
前回(2022/04/11、一冊前は千葉雅也『現代思想入門』、一冊後はジャック・ラカン『二人であることの病い パラノイアと言語』
上巻:
6, 20, 55, 62, 81, 97, 117, 119, 125, 132, 178, 180, 181, 182, 192, 194, 197, 203, 210, 233, 234
下巻:
8, 25, 30, 54, 57, 58, 94, 99, 103, 104, 109, 118, 131, 132, 166, 167, 179, 188, 189, 204, 208, 216, 220, 235, 244, 250, 269, 272, 274

今回(2024/02/18、一冊前はジョルジョ・アガンベン『言葉と死 否定性の場所に関するゼミナール』、一冊後は立木康介ラカン 主体の精神分析論』の予定)
上巻:
20, 51, 62, 67, 70, 76, 91, 112, 121, 125, 156, 158, 198, 207, 230, 232
下巻:
8, 106, 107, 108, 109, 132, 152, 166, 178, 180, 190, 191, 193, 199, 201, 207, 220, 223, 230, 234, 236, 241, 262, 264, 265, 266, 270, 272, 273, 274, 275, 277, 278, 280

 

www.iwanami.co.jp

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目次:

【上巻】
不安の構造への導入
Ⅰ シニフィアンの網の中の不安
Ⅱ 不安、欲望の記号
Ⅲ 宇宙から「不気味なもの」へ
Ⅳ 去勢不安の向こう側
Ⅴ 騙すもの
Ⅵ 騙さないもの

対象の境位、再考
Ⅶ それをもたないではない
Ⅷ 欲望の原因
Ⅸ 行為への移行と「アクティング・アウト」――身を投げること、そして舞台に登ること
Ⅹ 還元不能の欠如からシニフィアン
XI 欲望に句読点を打つこと

【下巻】
不安 享楽と欲望の間
XII  不安、現実的なものの信号 
XIII 愛に関するアフォリズム 
XIV  女、より真実の、そしてより現実的なもの
XV  雄の要件

対象aの五つの形
XVI  仏陀の瞼
XVII 口と眼
XVIII ヤーヴェの声
XIX  消えゆくファルス――去勢不安からオルガスムスへ
XX  耳から入るもの
XXI ピアジェの水栓
XXII 肛門的なものから理想へ
XXIII 点に還元できない円について
XXIV aからいくつかの〈父の名〉へ 

ジャック・ラカン
1901 - 1981

ja.wikipedia.or

 

参考:

uho360.hatenablog.com